N5Mを楽しむためのFAQ

3/11 アムステルダム

→地球上にあるタクティカルメディアのうねりの今日を確認し、その上で未来に向けたムーブメントを企てる野心的イベントN5M。その第3回目が1999年3月12日より、メディアアクティビニズムの都、アムステルダムで開催されました。

 グローバルメディアが一人一人の個人に深く浸透する現在の中で、どう活用するかをアクティビスト・アーティスト・思想家という時代のさきがけとなる人々の手自身で見せ合い、模索する、DIY感覚あふれる、このユニークなグローバルイベントを御紹介する前に、一体これが何もので、何で未来を考えるために重要なのかを、導入部としてQ&Aのかたちで紹介いたします。

 


WEB編集チーム最後の追い込み(Waag にて・10日)


その隣で記者もLANを借りてソフトウエアをセットアップ


De Waag -15世紀に建てられ、昔は計測所だった。商人の街・アムステルダムの象徴のひとつ-

 

 

N5M って何ですか?

→N5M の正式名称は、"The Next Five Minutes"「核ボタンが押されて5分後の世界」というのにかけたタイトルで、3回目を迎えます。

  タクティカル・コミュニケーション・カルチャー "Tactical Communicaion Culture" を主題に、

  • メディアをDIYしよう "Do-It-Yourself Media"
  • 様々な立場のアートと電子メディアのアクティビストが世界中から熱く語り合う "Dissident Art And Electronic Media Activists From Around the World"

・・・ということがらをフィーチャして、テーマを構成しています。

  アートおよびメディア運動のキーパーソンが ゲストとして世界中より50名以上が招かれるとともに、 同じく多彩な顔ぶれの参加者が地球規模で集まります。 ちなみに海外よりと考えられるインターネットを通じての登録者は150名程度(N5M事務局)とのことです。
 
これらの参加者に対してただ、イベントやワークショップを提供するだけでなく、情報交換や他の領域への体験や仕事の方法の伝授、そして長期間にわたるパートナーシップやネットワークづくり、企画立案の場を提供し、 実際的な「運動」の震源地になることを画策しております。

  開催期間は1999年3月12日から14日までで、 アムステルダムを中心会場に同じくロッテルダムを第2会場に開かれます。

 主催は、

  • De Waag 新旧メディア研究所 - メディアリテラシーとスキルの提供、社会的側面から欧州のメディア文化の知識センターを目指すNPO/付設のカフェは観光名所 -
  • De Balie 文化政治センター - 保革を問わず市民の政治や文化政策への参加を促すNPO/付設のカフェは大盛況 -
  • PARADISO - ポピュラーカルチャーの市民による実践を支援する箱、よくテクノミュージックのイベントに使われている -
  • V2 協会 (ロッテルダム) - 芸術家と技術者、人文家との共同作業で新しいメディア社会を模索するメディアセンター -
  • デジタルスタッド - ハッカーたちが「誰もにネットを!」を願って設立したインターネット上のアムステルダム ジオシティーより歴史は長く、まもなく人口10万人 -

・・・とアムステルダム・ロッテルダムのメディアインスティテューション総出で行う、まさに、オランダ的「市民」メディア・メディアアートの発露ともいうべきものになっております。

 

 

「タクティカルメディア/コミュニケーション」って何ですか?

→「タクティカル」を戦略と直に訳すと難しい部分。 デジタルメディアにとどまらず、人間が創造してきた あらゆるメディアを商業的にではなく、ありとあらゆる「運動」や 関係づくりをより効果的なものにするための戦略的メディア活用というの意味あいがあります。 もともと自治、ネットワーク志向を背景にした人々がオーガナイズをしているので、マスメディアの特権性がもはや無意味なものであるということがベースになっています。インターネットの発展やケーブルTVの多チャンネル化、月々数万円でロシアの衛星のトランスミッタが借りられるなどというように、技術と環境の変化によって、本当に特権性は無意味になりつつある中で、 どう自分たち自身でメディアをデザインするのかが、 今回のポイントとしてより一層関心事項となっているため、 よりタクティカルメディアという用語が今回のN5Mは活きるものになることでしょう。

 


街中にもチューリップが普通に芽吹く早春のアムステルダム


プレミアの準備にいそしむMongrelのメンバー (De Waag にて 11日)

何が行われるのですか?

→何が行われるかの理解の助けとして、今回のみどころをお伝えしましょう。

メディアキャンペーンの手法と美学(12日)
→社会活動にはキャンペーンが必要だ。新しいメディア環境は既存のマスメディアとは異なるキャンペーンを実現させる・・・
 それは何か? どうすればより効果的になるか? まあ、話しましょう・・・
 たぶん泣いたり、笑ったりすることが出来ますよ。

NGOを超えたPGO(13日)
→国家を超えた「運動」「活動」を新しいメディアと 社会システムを武器に展開する動きを PGO -Post Govermental Organizaion- と名付け、大いに盛りたてようと企まれる。

欧州メディア文化のマイルストーンが明らかに
→新しいメディアの登場によって文化地図が大きく変わりつつある欧州を俯瞰する 書籍とハイブリッドCDが初日に発表される。
  その書籍とは、全欧州のメディアアート・政策インスティテューションの協力のもと、 De Waag を中心とする編集チームがまとめた "New Media Culture In Europe"という名前らしい。

HOW LOW CAN YOU GO SHOW (2100 -欧州中央時間- 12日)
初日の目玉は「新しい技術を競うのだけがメディアではない」を見せつける、ローテクメディアプロジェクトの大見せつけ大会 "How Low Can You Go Show"。
  欧州各地より、VJからアスキーアート、はたまた 日本からは粉川先生のラジオまで、洗練されたローテクの美が競いあわれる。

→他にも、 アルスエレクトロニカ98で絶賛を浴びた人種差別風刺プロジェクト、Mongrel による "National Heritage"の新バージョンが De Waag の「レンブランドの解剖会図」の間で発表されたり、 安売り状態の通信衛星活用ワークショップや、メディア運動による紛争解決の方法アクティビニズム以降の「活動」を模索するなどなど・・・より数々の見所が満載されます。

イベントの裏でもいろいろなことが起こるでしょう
→アクティビストやアーティストたちが高い密度で出会う中で様々な反応が起きて、これからのメディア運動やアートの トレンドが生まれてゆくことでしょう。

 


De Balie のカフェで顔を合わせる面々。はやくも参加者でごった返す11日の夕方。右端でプログラムを眺めるのは社会学者の上野俊哉さん、その隣が「ラジオアクティビスト」(とN5M事務局が例える)粉川哲夫さん

 

 

 

ここに集まる人って何者なのですか?

→メディアを使って、いろいろな動きを世の中や文化に起こしていることを自覚しているか、起こしたいと企図している人たちです。
  主立っては欧州全域からですが、アメリカや日本、 オーストラリアからもやって来ております。 中には、発言者でありながら、一般参加者として、 また、発言をしたいと持込みをする人も少なくは ありません。 アクトしてなんぼの人たちでもあるので、 表現力やベクトルが強い人だらけです。
  もちろん肩書きとしては、 欧州全土のメディアセンターの関係者は集っております。 アジアやアフリカからですが、来るのが大変なので招待者が中心となっております。
  メディアといいますが、社会の関わりあいの中で メディアを用いる人たちなのでマスメディア産業の 人たちはほとんど参加しておりませんし、 ほとんど招待されておりません。

 

取材・編集・デザイン:岡田 智博  futurepress@coolstates.com

 

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