September 27, 2004
「掲示板アート」が最高賞 PRIX ARS ELECTRONICA の授与式が開催
- cool states
- 02:29 PM
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今年の世界最高の電子文化芸術が決定
世界でもっとも権威のある電子文化芸術のコンテスト、PRIX ARS ELECTRONICA (主催:オーストリア放送協会、アルス・エレクトロニカ・センター)の授与式が9月3日、オーストリアのリンツにあるブルックナーハウスで開催された。
85ヶ国地域、3341作品が全世界から寄せられる中、7部門の最高賞であるゴールデンニカの受賞者が招待され、シンボルである黄金のニケ像が授与された。
最も注目されるインタラクティブアートの部門では、米国のマーク・ハンセンとベン・ルービンによる「リスニングポスト」がゴールデンニカを受賞した。この作品は、テキストを高速表示する231個のテキストディスプレーとテキストリーディングのシステムで構成され、掲示板やチャットの書き込みをほぼリアルタイムに巨大な空間に降り注ぐように表示、同時に音声で内容を読み上げるもの。
コンピュータアニメーション・デジタルエフェクトの部門は、米国のクリス・ランドレスによるショートアニメーション「ライアン」が、3DCGでありながら絵画的に描くことで、登場人物の心理描写までを感じさせる、斬新な表現力が評価され受賞した。
ネットでの表現を広く表彰する、ネットビジョンの部門では、オンライン上での自治による著作権保護と活用のためのライセンスの仕組みである「クリエイティブ・コモンズ」の制定活動に対して授与された。
今年から授与されることになった、文化表彰部門であるデジタルコミュニティー部門では、ウガンダで展開されているオンラインによる中高生向けエイズ啓発プログラム”The World Starts with Me”が受賞した。オランダのNGOと現地のアーティストによる、情報デザインを通じた途上国での効果的な教育手法とITリテラシーの導入は、文化芸術からのIT普及と活用の可能性を実践するものとして評価された。同じく、日々更新が増進している参加型のオンラインフリー百科事典作成プロジェクト「ウィキペディア」が同部門では受賞している。
同じく新部門である、26歳以下の電子芸術奨学プログラム部門である「ネクストアイディア」には、岐阜県にある情報芸術分野の大学院大学IAMASの学生によるプロジェクト”moony”に授与された。
その他、ネット表現、デジタル音楽、19歳以下部門を含めた受賞者と作品リストは別表の通りである。
日本でのメディア芸術と情報デザインの高まりの中、応募作品の大きな割合を占める一方、今回、入選も含めほとんど選ばれることが無かった。この現実を前に、アート表現や文化のIT活用での国際競争に耐えうるプレゼンテーション力の向上を日本人に求める声が主催者や審査員側から多く寄せられていた。
岡田智博(クールステーツ)
このレポートは週刊アスキー508号に寄稿したものです