September 10, 2007
地方キャラクター2.0、夕張に飛び火 愛せるかが鍵 | 夕張夫妻
- cool states
- 02:27 AM
- Category: IT時代のアートとデザイン |
- Category: 創造都市|地域創造
そのキャラクターを愛することは出来るか?
財政破綻自治体として縮み行く日本の地方のこれからの先陣を切った、夕張市での事業再生中の観光施設が窓口となり、観光招致のためのシンボルキャラクターをおしゃれ外資系クリエイティブエージェンシーのビーコンコミュニケーションズのCDに依頼した。
そこで生まれた「夕張夫妻」という負債にかけたこのキャラクターは「金はないけど愛はある」というコピーの設定で、頭は夕張メロンの被りものをしている夫婦キャラクターである。
主に団塊世代の熟年夫婦に狙いを定めているそうで、「(夕張を励まそうとする)意図に反しない限り」(ビーコン)、無料で自由に利用可能だとか。
大ブレイクで、彦根の人々にやる気とコミュニティビジネスのチャンスを与えた「ひこにゃん」に続く、コモンズモデルのキャラクター展開である。さすが、ビーコン。目ざとい。
しかし、彦根のよいにゃんこと大きく違うのは、キャラクターが気持ち悪いのだ。気持ち悪いのもクリエイティブかもしれないが、事実、考案者のクリエイティブディレクターは「キャラクターはどこかとがったところがなくてはいけない」と答えていて、そういうクリエイティブならそうなんだが、なら団塊世代の熟年夫婦を狙わないだろう。
何というか愛せないキャラクターである。
持ち歩きたくないし、コミュニケーションがポジティブに広がらないし、愛おしくない。
愛せないキャラクターは、商材になりようが無い。
果たしてつくり手に本当にこのクリエイティブに対して愛があったのだろうか?
いいことしているよね。それに話題になって得点ゲット♪
くらいにしか思っていないようにしかかんぐることが出来ない。
老若男女を包み込む愛が演ずる者、受ける者、20万人に満ち溢れた上越市の Gackt の長尾景虎のような愛が重要なのだ
ひこにゃんの成功は、ひこにゃん愛を持てるキャラクターがコモンズ化し、その愛を地元の人々、そして訪れる人々、バイナルにひっかかった人々が分かち合い、愛おしいものとして自らのものと出来たからに他ならない。
「夕張夫妻」は「金はないけど愛はある」らしいが、少なくとも私には愛を感じることは出来なかった。
コモンズ型キャラクターモデルを成功させるには、愛を分かち合えるだけのクオリティのキャラクターづくりが必要なのだ。
「ひこにゃん」は、被り物の素材感にこだわっているし、ちゃんとマニュアル(同じ時間にひこにゃんは2体存在していないなど)もあり、実はクオリティコントロールをちゃんとした上での成果であることはキモである。
キャラクターにひっぱられて傾くことのないように、最先端のコミュニケーションモデルの申し子が生み出した、もうひとつのコモンズ型キャラクターの行方を気にしておこう。
リンク ◇ シリーズ「ひこにゃん」から始まる、地方キャラクター2.0革命
● Web 2.0化する地方キャラクター「ひこにゃん」 http://www.coolstates.com/archives/2007/03/20.html
● ひこにゃん2.0からコモンズへ「ひこにゃん文化祭」 http://www.coolstates.com/archives/2007/06/20_1.html