各カテゴリーのTOP3サイトしか広告は取れなくなる
パーソナライズの対価は顧客が払うべきものだ

WEBコンテンツのトッププレーヤー語る語る

2/9 カンヌ・フランス

→商談会が始まり、正式に開催期間が始まった2日目の milia 99。 業界の動向をキャッチするフォーラムの開催も始まった。
 この日の見物はYahoo!、NetCenter、Discovery Onlineなどのネット界での勝ち組で競争者であるサービスのトッププレーヤーが一同に会して議論したフォーラム "What Business Model Are We In" であっただろう。

 

WEBコンテンツ・トッププレーヤーの大放談会

→9日夕方より開かれた、"What Business Model Are We In?"は 以下の豪華な顔ぶれが壇上に出席し、 インターネットにあったプロダクトとサービスをどうビジネスモデルとして定義付けるかを題材にディスカッションを進めて行った・・・

モデレーター

 

 

地域密着型かそれともグローバルか

→インターネットが普及し、ユーザーの生活の中に入り込むにつれて、 インターネット上でのコンテンツサービスのフォーカスが、

  • グローバルなもの
  • 国や地域の言語や文化性に即したローカルなもの
  • 生活の身の回りを便利にするための生活圏としての地域密着なもの

 といった3つの要素に分化されるようになってきたことを各人が指摘、それぞれの立場としてその中での住み分けをローカルサイドのプレーヤーは表明し、フルサービスによる囲い込みへの野心をグローバル・ポータルサイドのプレーヤーは表明した。

立場表明より

Linda Lawrence(これからはL)
>わたしたちは顧客満足を主眼にした、ローカルに密着したポータルづくりを NetCenter で進めております。

Tim Jackson(これからはT)
>ヨーロッパを対象にしたインターネット上でのオークションサイト「QXL.COM」を運営する中で、ローカライズとより顧客重視のカスタマーサービスを追求しております。 その一環として例えば通貨は、イギリスポンド、フランスフラン、ドイツマルク、ユーロを使えるようにしております。

Timothy A. Koogle(これからはK)
>顧客をひきつけるためには長期間にわたる満足が必要だと考えております。地域密着型という意見が多く見うけられますが、グローバルなコンテンツにアクセスできることも一方では重要です。両方を満足させるために、それぞれローカルの文化に浸透してゆけるサービスの提供が重要だと考えております。

 

 

巨大ポータルがWEBコンテンツビジネスを淘汰する

→モデレーターの Michel Schrage (発言時はMと略す) は 巨大ポータルの存在がコンテンツのブランド化を もたらしていると指摘し、その功罪を発言者にぶつけた・・・

L:ユーザーは使いやすさを求めます。 求めるコンテンツに近付き易くするということではユーザーにとって有用です。今は更にユーザーはグローバルコンテンツにも 近付きたくなっているので、より価値が増すということでしょうか。

M:数多くの内容のあるリソースが日々数多く生成されるインターネットの性格から、パソコン通信と変わらないようなコンテンツの囲い込みによるサービスはもはや役に立たないのではと思うのだが。

Andrew Pharpless(これからA)
>ディスカバディーは専門店的存在として十分なブランドがある。
だから、他ブランドとの提携はしない。地位が確立した専門店そして日々充実しつづけているのにそれが必要だというのだろうか。

K:Yahoo! は最近、オークションサービスをYahoo!内で始めた。 もはやオークション専門サイトとして確立しているQXLやeBayなどがある分野で競争をしているのだ。確かにYahooはポータルとしての強固なブランドがあり、オークションもうまくいっている。さて、専門店との競争がどう転ぶかは私にとっても関心である。

L:一ヶ所にやって来る人にあらゆるサービスを行うことは確かに、ユーザーにとっては便利で、コンテンツ事業者にとっては沢山の人がやって来るので、魅力的。テレビや紙媒体などがWEBに進出してきたが、WEBの世界を変えることが出来なかった。WEBにはWEBを使う大衆の欲求がある。WEBコンテンツで成功している存在はその欲求を汲み取っただけだから。

T:3・4年前、研究者同士のやり取りのための道具でしかなかったチャットアプリケーションが、ICQとなったりして、瞬く間に世界数百万人もの人が使う。インターネット上では、アイディアが瞬く間に世界を飛び、浸透し、すぐにマスがつく。 コマースサイトであるプライスラインの例もある。ベンチャーキャピタルから金をもらうとすぐに、顧客をつけるための宣伝行為に多くを注ぎ込み、数ヶ月でブランドを浸透させ、顧客をつけた。この世界ではすぐにブランドを作ることも顧客をつけることもできる。
まずは広告に注ぎ込むこと。広告で注目をひいてとにかくアクセスしてもらうことが重要。

Gert Birnbacher(これからはG)
>広告のことを考えると、広告が集まり、それで運営して行けるサイトはそれぞれの分野でトップ3だけだろう。

A:勝者だけが広告を得られるのだ。広告を得られる地位になれば、安定してコンテンツにバジェットがかけられる、既存の出版社と同じコンテンツの作り方ができるようになるから。

 


カスタマナイズのためにプライバシー渡してるのだぞ何かくれるのが道理だろう


カリカリ・・・


あなたのためにもなっているでしょっ!

顧客を囲い込め

顧客へのサービス手段としてパーソナライズを行うところが増えてきた、しかし、それがどういう価値を持っていると いうのだろうか・・・

K:顧客を自分のところに誘導し、その上、離さないためにも、ダイレクトマーケティング、すなわち1 to 1マーケティングを行うことに努めないといけない。

M:コンテンツサービスの多くが顧客に対してパーソナライズを提供しているが、誰がそのコストを払うのだろうか? 広告主?

K:確かにパーソナライズしたページを生成して、顧客に届けるコストはあるが、パーソナライズでしぼれば、しぼった分の要望が出るので、その要望に対応するサービスを提供することでビジネスが発生するからいい。

L:パーソナライズはユーザーのためにはなるが、コンテンツパートナーからの情報をしぼりとって提供している部分があるのでコンテンツパートナーのためにはならない部分もある。

※パーソナライズはあくまでポータルなど提携において上位のコンテンツプロバイダーが提供するためコンテンツパートナーのサイトにアクセスする機会が低減する。 メインのサイトへのビジター数が少なくなるということは 広告収入、もしくは、サイト上でのマーケティング機会を奪い 上位サイトにたいして「他人の褌で相撲をさせてしまう」効果もある。

K:身の回りの生活圏の欲求、地球規模での関心に対する欲求。 このインターネットユーザーに存在する2つの欲求を満たさなければ、満足を提供することが出来ない。そのためにはポータル化もパーソナライズも必要なのだよ。

聴衆より:パーソナライズという行為で個人情報という価値をあなた方に渡している。それに対して何かしらの金銭的対価をユーザーに対して払うべきではないか。

L:パーソナライズはあなたのため。ネットセンターでは個人情報をこちら側が使用するために確保するのかどうかはユーザーの判断に任せるようになっている。パーソナライズは、あなたにとってメリットになっているでしょう、少なくとも・・・

K:パーソナライズはユーザーに対して更なる自由を与えるものと確信している。 ネットで迷ったりせず煩わされること無く求めるコンテンツを得られたりするのだから。 ポータルによる囲い込み、強大なブランドと資金を持った巨大サービスのみが勝ち組になるという認識、最高のユーザー囲い込み手段であるパーソナライズサービスを巡る正当性など、クリティカルな内容によるディスカッションは出席者、特にYahoo!のKoogle氏やNetCenterのLawrence氏を熱くしたり、他の出席者もエキサイトするものであった。

 

 

→結論というよりも
 巨大サービスのプレーヤーが多くを飲み込み、より多くの顧客を急速につかみ、離さないように しなければやって行けないという意識にあること、
 そして一方でインターネットの生活への浸透の中で地域・生活圏や文化に密着したサービスを提供することがビジネスとして成り立つことが欧米の業界では認知されているということ、
 地球規模のネットワークというスケールが特別な関心を持ったニッチに対するビジネスであっても数多くの顧客を得ることが出来ること、

 がそれぞれ実際に成功しているプレーヤー同士で相互に評価されているという状態をみることが出来たという点で興味深いフォーラムであった。

 

取材・編集・デザイン:岡田 智博  futurepress@coolstates.com

 

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