応募の機会を探すのが大変・・・
ニュータレント・パビリオンで話す

2/10-11 カンヌ・フランス

→世界中から若いアーティストをカンヌに招待 milia で売り込みの場を提供しようというミリアドールとならぶ目玉アトラクションであるニュータレント・パビリオン。
 第6回目を迎える今年は25ヶ国240以上の エントリーの中から11ヶ国27プロジェクトが国際審査員団の手によって選ばれ、miliaの舞台に立った。

 ニュータレント・パビリオンが立地するのは、メイン会場のフェスティバル宮殿の 展示・コンファレンス会場と出展者・参加者用サロンを結ぶ導線上のロビー状になっている場所。 そこにポール状に10数台のiMacと一部WindowsPCがポール状に立っている。 このポールこそがヤングタレントたちの プレゼンテーションの場なのだ。 プレゼンテーションポールはそれぞれ2つのプロジェクトが交互に1時間交代に使うようになっている。

 会場には事実上の初日であった8日の準備の時から引っ切り無しに人々が集まり賑わいを見せていた。 特に商品化以前の才気によるユニークなコンテンツやプロトタイプが集まっているとあって、プレスの取材が いつもどこかであったという様相を呈していたのだ。 そんな多忙な状態から何人かのニュータレントたちに売込み中の今の状況を聞いてみた。

 


「こうなって、こうすると、なかなかでしょう・・・」説明中のesfore-entropyプロジェクトのみなさん

 

 

ビジネスにするために積極的に見せびらかしたい
esfore-entropy

→3DCGを用いたエンタテインメント感溢れるデスクトップ・インターフェイスを提案する英国・ミドルセックス大学院からの3人組。まだまだプロトタイプの段階だが、浮遊感を楽しませてくれながらも初期型iMac上での軽快な動きはとても期待できる。興味を示してくれた人たちからのコメントを名刺とともに直筆で集めるノートをつくって評価を得るだけでなく、ツールとして残して行くなど、 まめなプロモーションにも好感が持てる。
  初めてパブリックにデモンストレーションしたのは98年、ロンドンで行われた NA Show にて。 ニュータレント・パビリオンへの参加はプロトタイプを見せながらパートナーを探す機会を物色していたら、 幾つかのクリエーション系の雑誌で募集広告を見て応募したとのこと。
  「かななかデモンストレーションの機会になるようなイベントの情報がつかみづらいよね」 とメンバーのステファン・ワンダーさんは語る。 そして、 「プロトタイプをより作りこみつつ、同じような デモンストレーションの機会があれば積極的に応募してビジネスパートナーを求めてゆきたい」 と希望をのべるのであった。

 

 

→ニュータレント・パビリオンにはAMD:社団法人マルチメディア・タイトル制作者連盟が日本での事務局を引き受け、支援している。 新しい才能の発掘と送り出しへの期待の中で日本からも4プロジェクトが舞台に立った。

 


じゃあ、御説明しましょう・・・


ちょっとブラックにつくってあるんですよ。

応募情報を得ることが大変なんですよ
Zoo

→きもちかわゆく、にやっとさせてくれる、 インタラクティブワールド「Zoo」を出展した栃木博子さんは東京工芸大学芸術学部デジタル映像研究室の4年生。
  東京工芸大学芸術学部といえばSIGGRAPH98でもエンハンスドリアリティー部門にプロジェクトを出展したり、積極的にアピールする気風で要注目の大学。
  栃木さんも昨年、ニュータレント・パビリオンに当選した先輩からアドアイスをうけて出展したという。
  「うかっちゃったというようなかんじです」 メディアアーティストとして食べて行けることを目指している栃木さん。作品に打ちこみ続けていまでも進路は決まっていない。 アーティストとしてでは基本的には食べて行けない日本の姿を前に「卒業後、英語を勉強して海外で活動しようかとも思うのですよ」と微笑みながら話す。
  「ニュータレント・パビリオンの情報をつかんだのもほんの直前だったし、コンテストやデモンストレーションの機会の情報を得るのが本当に難しい。 マルチメディアっていうけれど メディアアートで競える場が少ないように思える」 とメディアアーティスト予備軍にとっての悩みを語る。
  「何かディールがあった?」と聞くと、 「私、英語が分からないので、おはなしできないのです折角来たのに残念だけど・・・」

 

→他にもそれぞれ魅力的なプロジェクトが溢れていたがメディアポールベースの見せ方という窮屈さが魅力をそいでいたような感じがした。 また、魅力的とはいえ、私にとっては欧州という尺度でいったらアルスエレクトロニカに持ちこま出展される プロジェクトには、よだれが出放しであったのと較べシズル感があるものがほとんど見うけられず、 当選作品の業界への浸透に較べてアーティストへの浸透がまだ十分でないような感じがゆがめなかった。
  マルチメディアを用いた表現があらゆるところに 入り込んで久しいのに、まだ、メディアアートをパブリックに表現できたり、個性や才能を国際的に紹介する機会が未だ少ないことをニュータレントたちも milia の参加者の多くも語っていたことが印象的であった。 そのような、満たされないものが、ニュータレント・ パビリオンに引っ切り無しに寄りつく人手に現れていると見て取れるのではないのだろうか。

 

取材・編集・デザイン:岡田 智博  futurepress@coolstates.com

 

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