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なんたって今年は
INFOWAR 世界三大マルチメディアフェスティバルの誉れ高きアルスエレクトロニカ・フェスティバルが今年も開幕しました。 秋の実りかどうか世界中から選りすぐりのメディアアートを集める一方、今、そこにあるメディアに潜む脅威を語り合う一週間がやってきたのです。
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■ まだ見えぬINFOWAR 「今年は何と言ってもインフォウォーだからね・・・ どうなるんでしょうね」、アルスエレクトロニカが展開するアートコンテスト・ネットワーク部門の第2位をポストペットで受賞した、八谷和彦さんはアルスエレクトロニカセンター前のカフェで到着早々のインプレッションとして語る。 「インフォウォー」INFOWAR、これが今回のフェスティバルのテーマ。テーマに即したシンポジウムやイベントが街中で開催されるのだ。ちなみに八谷さんはアルスエレクトロニカのメインであるところのエレクトニックアートのフェスティバルの部分での参加。メディアを取り巻く様々な断面を一同に集めてしまうのがアルスらしいところ。 しかし INFOWAR とは激ヤバなひびきで事前から「映画『タイタニック』のせいで被害を被ったメキシコの漁村の抵抗を支援しよう」とか「メキシコ政府やCIAのWEBサイトを会期中にボイコットしよう」とか、メディアアクティブなメッセージが電子メールやネットを通じて、INFOWARな動きの一環として届けられたりしている。更には「インフォウエポンコンテスト」(爆)まで行われるとあれば物騒この上なく、血沸き立つ感じとでもいうのだろうか。「インフォウエポンコンテスト」とは情報社会の中で最も効果的に「闘争」を展開したムーブメントを選ぶコンテスト、とうたうから本当に参加アーティストたちの会話は「耳にすると『一体どうなるんだろう』という話で持ちきりですよ」と他の日本人参加者も語っていた。
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■ でもとってもなごやかオープニング 午後5時半よりサイバーアートの展示会場で開かれた、オープニングセレモニーはリンツ市政府およびオーストリア政府関係者、主催者の挨拶から和やかに始まった。挨拶では口々に今回のテーマであるINFOWARにからめ、地球規模のコミュニケーションの時代とコンピューティング依存の社会のあやうさを軸に今回の意義を強調していた。(写真上) その後のラウンジパーティーではシャンパンやビールが振舞われ、あいさつがあいさつを呼ぶごった返しの状態。 続いてアドロフ・ヒトラーが初めて大衆に対して演説したという広場に面したホールでオープニングパーティー。同じく、演説調の挨拶とそして舞踏会場にもなるモダンゴージャスなホールでブッフェが振舞われた。並んでも20分近く動かないブッフェの列に嫌気が差して先を見ると、着飾った紳士淑女も交じった無秩序な略奪状態。私も略奪の輪に加わりおかずを盛る。そういうスタイルなのですね・・・ 会場内は自然と人々の輪が出来、終始なごやか。片隅では伊藤穣一氏を中心に床に車座になってセキュリティー論議、方や八谷さんのまわりはくまの(ちいさい)ぬいぐるみ(写真中)をなでる人の姿が・・・ 国境や大陸をこえたであいの場は終わりを感じさせること無く続いていた・・・。
■ アクトの前の静けさ ブルックナーハウス その頃、シンポジウムの会場となり、メディアアクティビストが100台のコンピュータでうごめくINFOWARな殿堂、ブルックナーハウスでは、明日からの本番に向けて静かにセットアップが始まっていた。はんだこてで基盤をいぢる少女もあれば、レジストリをいぢるトレッドヘア・・・ 今回の目玉とも言うべきメディアアクトなショーケース、openX はパーティーの喧騒とは異なる、コラボレーションのなごやかさで夜が過ぎ去って行くのであった。(写真下)
コラム・編集:岡田 智博 futurepress@coolstates.com
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(c) OKADA, Tomohiro, The Cool States Communications, 1998