よたばなし
『奇跡の輝き』の
ゴールデンニカが
培養された?



→『奇跡の輝き』に与えられたゴールデンニカがオーストリア放送協会リンツ支局での授賞式の後に行われたパーティーで「ほったらかし」にされた後、ゲストの「ネットエージェント」 etoy によって持ち出させた。

→その後、closedX フォーラムの席上で、彼らの手によって、 『タイタニック』サボタージュで因縁の RTMARK に勝手に「寄贈」された。

→その後、両者は今年のアルスエレクトニカのテーマ、 ライフサイエンスに則って、ゴールデンニカ(トロフィー)の 「培養」パフォーマンスを20周年記念シンポジウム「チルアウトルーム」にて実施、 結果は写真のような奇形となったとか・・・

 



『ディファレンス・エンジン』


"Landscape One"


『システム・メンテナンス』


Prix ARS Electronica 99
大紹介
CG / インタラクティブアート編

9/8 リンツ・オーストリア

Prix .net / コンピュータミュージック編より続く

 

大賞はCG版大霊界 ビジュアルエフェクト部門

→CGの最高峰を決めるビジュアルエフェクト部門のゴールデン・ニカは、デジタルドメインを中心とする、映画『奇蹟の輝き』ビジュアルエフェクトチームが受賞。
  日本では、丹波哲郎のCMによるCG版大霊界として記憶のある方が多いこの作品、ノンフォトリアリスティックの技術によって展開された19世紀絵画の世界そのものの美しい「あの世」はまさに絶賛に値するもの。

→次席には、華々しい室町絵巻の中でポルトガルの商人と日本人たちの文化交流を動画化した1998年のポルトガル万博のために製作された"A viage"と、荒波の中サーファーたちと躍動する白馬の群れがサーフィンをするギネスビールのCM映像『サーファー』が受賞した。

この項は、『週刊アスキー』1999年11月10日号に筆者が寄稿した原稿をもとにしております。

 

うさぎの哀愁を描いて大賞
コンピュータアニメーション部門

→コンピュータアニメーション部門のゴールデン・ニカは、年老いたうさぎの哀愁を情感あふれる映像で表現したショート・アニメーション・フィルム『バニー』でブルースカイスタジオのクリス・ウェッジが受賞。
  特に、ラジオシティー法で追い求めた、光のシミュレーションによる情感ある映像表現の引き立ては、今までに無いものとの評価を受けた。

→次席には、13歳の少年の生活を追ったドキュメンタリーフィルムをもとに、フレーム毎に様々な手法のアニメーションを用いて描き起こした『スナック・アンド・ドリンク』が受賞、目まぐるしく変わるアニメーションのスタイルはどれを見てもポップな作品。
  もう一つの次席は、映画『バグズライフ』、全てCGアニメーションで作られた昆虫たちの物語はもはやお馴染みのものであろう。

 

挑まれるスペース感覚 インタラクティブアート部門

→今回のインタラクティブアートの受賞作は、マルチメディア技術の高度化によって、様々な現実感の表現が可能となった状態をうけて、異なるスペースを持つ作品たちとの対峙で自身の現実感が挑まれるものが並んだ。

→ゴールデン・ニカは、ドイツ・カールスルーエにある巨大メディアアート美術館 ZKM の代表的な収蔵作のひとつである、リーン・ハーシュマンの『ディファレンス・エンジン』が受賞。
  来る者の顔を次から次へとキャプチャーし、勝手にシリアル番号を付けて、コレクティングし、一方で、そのコレクティングされた顔を閲覧して行くことで、仮想世界の位置感覚を現実世界で感覚化することを試みた作品である。

→次席は、もっと、分かりやすいものが受賞した。
  『ある風景』"Landscape One"は、4面仕切られたスクリーンと透明板によるタッチパネルで構成された作品。 スクリーン上に、等身大の感覚で、ピクニックの光景が映し出され、様々なコミュニケーションのチャンスが与えられる。昔の恋人に会って無視されるシチュエーションから、家族と触れ合ってランチを一緒にするストーリーまで、タッチパネルを媒介にした指示を通じてリアルタイムに風景とストーリーが展開されて行く。仮想世界の住人たちとの関係で、自分自身の社交性が挑まれるのだ。
 もう一つの次席は『システム・メンテナンス』。現実にある色とりどりの家具のインテリアと、その模型の家具によるインテリア、そして、3DのCGによるシミュレーションが展示され、大画面に3つのレイヤーが重なった映像が映し出される。3つのイメージを重ね合わせて整理整頓を完了させるという、空間感覚を挑まれるゲームをしろというのだ。

 

取材・編集・デザイン:岡田 智博  info@coolstates.com

 

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