ars electronica festival - event -
ネクスト・セックス・アートってな〜に?

レポート:イベント・パフォーマンス

9/10 リンツ・オーストリア

→リンツという中都市全体が会場として使い放題という特性を活かして、今年もテーマにちなむもの、後述する世界最大の電子芸術コンテストであるプリ・アルス・エレクトロニカに関する旬なものなど、様々な最先端のメディア・アートのイベントが展開された。

この項は、『週刊アスキー』2000年10月24日発売号に筆者が寄稿した原稿をもとにしております。

 


「精子レース」の生中継を「観戦」するカップル


実況アニメーションのリプライは特設サイトで今でも見ることが出来ます


「インターコース」に興奮してあおりまくる
イストヴァン・カントール氏



「D.A.V.E.」より

しつこいですがまずは精子レースから

→最も注目されたイベントは、この街の中心にある広場に設置された特設会場で開催された「精子レース」。「精子レース」とは、精子の数と運動量が減退していることを喚起することを趣旨とするもので、参加者を募り、彼らの精子の速さを競わそうというもの。実際にギャンブルとしてお金を賭けられるようになっていた。実際のレースの模様は、対象がとても小さく見ることが出来ないため、グラフィカルなWEBアプリケーションによる実況アニメーションによってインターネットを通じて見ることが出来るようになっていた。

ファイル・キャビネットでインターコース?
DNAの組み合わせをバイナリーにすると銀河系?

→他にも、会社に普通にありそうな巨大なファイル・キャビネットの開け閉めをバーチャル・セックスになぞらえて、何台もの鉄製のキャビネットを激しく出し入れする毎に、スクリーン上の映されたSM映像と交わるという、イストヴァン・カントール氏によるパフォーマンス「ファイル・キャビネット・プロジェクト−インターコース」などといった、もろにセクシャルなものを髣髴させるものから、「全てのDNAはバイナリー・コードにすると、天の河のように視覚化できるのだ」と、熱く語るバイオ・アーティストのジョー・デービス氏のラボの公開や、「細胞組織文化芸術家」と名乗る集団による細胞組織の培養を用いた「半生物想い人形」制作ワークショップなど、「ネクスト・セックス」で考えることの出来るあらゆる視点からのアート的な表現で街中満ち溢れていた。

でも感動も出来たよ

→旬なメディア・アートの実演としては、藤幡正樹東京藝術大学教授および古川聖同助教授などによる、コンピュータ上での画像と音声とが影響を及ぼしながら音を紡いで行くアプリケーションによるコンサート「アクティブ・スコア・ミュージック」や、現実の肉体をスクリーンにしてその投影された映像を受けながら躍動的なダンスを行なう「D.A.V.E.」などが、シアターパフォーマンスとして展開された。
  また、シンポジウムと同会場に会期中限定のテンポラリーなメディアラボ「エレクトロロビー」が設置され、日本からのインタラクティブ・デザインWEBマガジンである「シフト」やウォール街の金融マンが個人で展開するグローバルな巨大小噺コミュニティーサイト「メメプール」など、全世界から招かれた20以上のWEBアートのプロジェクトが会場内で特別にデモンストレーションされた。
  同会場にはプロジェクトの一環としてインターネット放送局が設置され、市内に張り巡らされたATMとそれに連なるインターネット回線を通じて会期全体にわたってこれらのプロジェクトの模様が生で配信された他、アーカイブ化され今でも閲覧できるようになっている。

取材・編集・デザイン:岡田 智博  info@coolstates.com

 

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